宮田村インターネット博物館(miyada village internet museum)

(上記ロゴをクリックすると宮田村インターネット博物館の見学ができます)

 宮田村デジタルエコミュージアム研究会
 会長 天野早人 氏

 (インタビュアー: 橋爪人子 / 日時:2011.07.08) 

 

 

最新のデジタルアーカイブ技術とエコミュージアムという発想を融合させたのが宮田村インターネット博物館だ。「村人みんなと世界のみんなのコミュニケーションを生むミュージアム」をコンセプトに、内外に宮田村の歴史・文化・自然を発信している、このインターネット上の博物館を運営する『宮田村デジタルエコミュージアム研究会』の天野会長に話をうかがった。


・・・『宮田村インターネット博物館』の開設前、天野さんがこれまで抱えていた悩み・課題にはどんなものがありましたか?

 

デジタルアーカイブ二つの想いがありました。一つは、知名度や情報発信の不足を何とかしなければという想いです。宮田村には中央アルプス駒ヶ岳や祇園祭があり、年間、数十万の観光客が訪れます。それにも関わらず宮田村の知名度は低いのが現状です。たとえば、当会が2010年に村内の宿泊客497人にアンケート調査を行ったところ、宮田村を知っていると答えたのは32.6%にとどまっております。宮田村を宿泊地に選んでいるのにもかかわらず、この数字は残念な結果です。観光客が必要としている情報を提供していかなくてはいけないという思いが強くあって、村のPRも含めてそういう発信が出来るものを模索していました。
もう一つは、郷土認識を高めたいということです。観光客の皆さんだけではなく、宮田村の皆さんにもっと宮田村を知ってもらう必要があると思います。自分たちが生活を営む宮田村がどういう村なのか、まず自分たちが知らなければ、何もすることができません。その方法として、村の歴史的なものや文化的なものを中心にデジタルアーカイブとしてまとめ、住民の皆さんに再認識してもらうきっかけをつくる材料を整えたいと考えていました。

 

・・・内外の人に宮田村をPRできる方法、媒体を模索していたということですね。

 

はい。さきほどお話ししたとおり、二つの側面があり、それをカタチにしようと仲間で話している中で「デジタルアーカイブ」という話になってきたんです。

 

・・・デジタルアーカイブの存在を知った、そもそもの経緯はなんですか?

 

デジタルアーカイブ言葉自体はかなり前から知っていました。10年ほど前、学生時代に宮田祇園祭のインターネット中継をはじめた頃、生中継してそれで終わりでよいのかという想いがありました。しかしながら、当時はまだインターネット中継自体が珍しく、デジタル化して保存するということは考えていませんでしたが、そのうち段々テープが溜まってきて(笑)、そろそろ何か手を打たなければと思っていた頃に、デジタルアーカイブという発想を知りました。当時、皆で企画書のようなものをまとめたのですが、その時は実現しませんでした。

 

・・・デジタルアーカイブを導入したインターネット博物館を開設して、周囲からの反響や成果はありましたか?

 

デジタルアーカイブおかげさまで、国立国会図書館デジタルアーカイブに登録していただくことができました。長野県では初めての事例ですし、町村での登録は全国的にも初めての事例です。2010年11月3日のプレオープンから2011年3月中旬までの間で、アクセス数は延べ18,423件です。平均サイト滞在時間は約9分であり、時間をかけて閲覧されていることが特徴といえます。また、たとえば「地神様」といったキーワードで、当博物館へたどりつく例も確認されており、今後さまざまな文献を電子化していくことで、多様なニーズに応えられるのではないかと考えています。

県内外から問い合わせもありました。地域の文化財を綺麗な状態で残していきたいという想いを皆さんお持ちですが、保存するための倉庫や空調設備が整っているところは多くありません。予算にも限りがあり、貴重な資料はどんどん劣化していきます。低予算でデジタルアーカイブを構築したということにも興味を持たれているようです。

 

・・・現状の課題があれば教えてください。

 

まずは、収蔵品を充実させることです。利用するユーザーが調べものをしたい時に、その要求に応えられるだけの収蔵品がなければ、利用率は上がりません。

 

・・・載せるネタといいますか、収蔵品はいくつもあるのですか?

 

現在の収蔵品は約150点です。村や村教育委員会、資料をお持ちの個人の方にも協力いただいており、まだまだ載せるべきネタが山のようにあります。

 

・・・なるほど。話は変わって、天野さんは「郷土認識」という言葉を大切にされているということですが、具体的に教えていただけますか。

 

もともと、1938年に宮田尋常高等小学校の校長先生が記した文章の中に出てくる言葉です。教育や産業を含めて地域をどうしようかという話をする前に、この地域がどういう地域なのかを知る必要があるということです。宮田村の歴史は古く、1万年前から人が住んでおり、少なくとも平安時代から「宮田」という地名がありました。ここで生活を営んできた人々がどう歩んできたのかをまず知り、今まで作り築き上げてきてくれたものを大切にしながら、その上に新しいものを作っていくことによって、地域づくりに深みが出てくるはずです。地域づくりとはそういうものだと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・教育というと、平行して地域の小学校などのIT化も大切になってきますね。

 

はい。一つは、子どもたちが宮田村のことを調べる際に、当博物館が教材の一つになればよいなと思っています。もう一つは、子どもたちが宮田村について学んだ成果を記録していければと考えています。昨年、宮田小学校のあるクラスが宮田村の農業に関して学んだ総合学習の成果を実験的に掲載しました。子どもたちの目をとおして、村の魅力の掘り起こしにつながるのではないかと考えているからです。次に同じテーマで学習する子どもたちの参考文献としても活用できるのではないでしょうか。

 

・・・宮田村インターネット博物館のWeb制作を担当した当社への感想はありますか?

 

わかりやすいデザインで閲覧しやすく、利用者に優しい作りに仕上がったのではないかと思っています。何より、低予算の中でここまで作っていただいたことに感謝しています。

 

・・・ありがとうございます。最後に今後の目標や展望を教えてください。

 

繰り返しになりますが、収蔵品を継続的に増やしていくことが大切だと思っています。観光客の皆さんには適切な情報提供ができるように、宮田村の皆さんには郷土認識を高めていただけるように、今後も内容を充実させていきたいと思っています。

 

・・・本日はありがとうございました。